アジアの美味しい道具たち
おや、もう月半ば。それではと、本のことでも。
しかしやっぱり結婚して、こういう本の衝動買いもちょっとは弁えるようにもなりました。まあ、相応の節約術も身につける必要があったもんですから。
でもまあ、若いときからの性癖か、自分が「これは!」と思った本はやっぱり欲しくなる・・・というわけで、最近はもっぱら古本で、このインスピレーションを試してた。いや、愉しんでたかな。
で、きょうのこの本も以前古本屋で「これは!」と思って手に入れたアタリの本。
手に入れようと思った動機は、やっぱり表紙。アジアの台所道具を独特のタッチで描いたものなんですが、なかなかな味わい。あとがきを読んでみると、「物語」に生き生きとした表情を与えてくださったのは、アートディレクターの佐村憲一さんである。相棒たちを紹介するには写真ではなく、ぜひイラストレーションで、という私に、佐村さんは少し考えたのち「よし、それでは僕が描いてみましょう」。そして、少しずつ描き上がるイラストレーションを目にするたび、感嘆した。佐村さんが描く線には、「アジアの美味しい道具たち」が漂わせている朴訴な暮らしのあたたかさと力強さが、そのまま息づいていたからだ。」とアリマス。
でも、まあ、イラストもそうなんですが、よかったのはその内容。著者の平松洋子さんはフードジャーナリスト。その平松さんがタイ、インドネシア、韓国・朝鮮、インド、ベトナム、香港、台湾、中国と巡り、ウチへと連れて帰った道具たちが主役。「BOOK」データベースからの抜き出しですが、「・・・使うほどに手肌になじむココナッツ殻のしゃもじ。ふつふつと煮たてたごちそうを熱々のまま味わえる素焼きの器。一滴たりとも蒸気を逃さぬ雲南の秘具・汽鍋。―台所道具にこめられた49の美味しい物語。」という感じ。
むろん、主役は主役なんですが、イイのは平松さんの文章。主役によって紡ぎ出されるアジアの空間。その情景がオイシイ。
フードジャーナリストは料理の専門家であってジャーナリストでもあるワケなんですが、ともすればジャーナルの部分っていうのが簡明に過ぎるっていう場合もままある。ところがこの方の文章、どうしてどうして。2006年には山田詠美さんの選考で、「買えない味」っていう作品がドゥマゴ文学賞を受賞したほどですから。
まあ、この本もそうなんですが、この人、けっこうオモシロそうな本をたくさん書いてるようなんで、もう少しいろいろと読んでみようかな。「これは!」と思って買ったアタリの本で、こんなふうにのめり込んでいくのは、なかなかそんなことも愉しかったりして。(厨房男2010.06.15 Tuesday)








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